◆第60回ラジオNIKKEI賞・G3(3日、中山競馬場、芝1800メートル、良)
2番人気のフレールジャック(福永)が直線抜け出し、デビュー以来無傷の3連勝で重賞初制覇を飾った。
2着はマイネルラクリマ。1番人気のカフナは3着、トップハンデのショウナンパルフェは9着に終わった。
436キロ。ディープインパクト似の小柄な馬体が、大外から飛んでくる。
最後の急坂を、勢いよく駆け上がって伸びたのはフレールジャックだった。
先に先頭に立ったマイネルラクリマに、抵抗する余力は残っていない。ステッキを入れずにかわし、最後は3/4馬身差。楽に抜け出し、無傷の3連勝を飾った。
春のクラシック戦線を戦ってきたライバルを向こうに回し、わずかキャリア2戦での重賞初制覇だ。
福永は「前半から行く気満々で、抑えるのに苦労した。落ち着くまで時間はかかったけど、最後は伸びてきた。キャリアが浅いのに、こういう競馬ができるのは立派」とパートナーをたたえた。
初めての長距離輸送と、中山コースを難なくクリア。
危なげないレースぶりは、着差以上の強さに見えた。
友道調教師は「(レース前は)馬体重がマイナス10キロで心配だった。
ただ、前回より下見所では落ち着いていたし、輸送さえクリアしてくれればいい競馬ができると思っていた」とホッとした表情を見せた。
2か月前の5月7日に、京都(未勝利戦)で初陣を迎えたばかり。
昨年12月の阪神開催の予定が、あちこちに傷をつくるなどアクシデント続きで遅いデビューとなった。
「父と同じで体は小さいけど、動かすとすごいバネを見せる」。
走る確信があったからこそ友道師はクラシックにこだわらず、その時を待った。
これで、秋への視界はグッと広がった。
この後は、栗東トレセン近くのノーザンファームしがらきに放牧に出され、神戸新聞杯(9月25日、阪神)からリスタートすることが有力だ。
「折り合い面は、今後の課題。その点からも秋の路線は、騎手と相談しながら決めたい。トライアルの内容を見て菊花賞か、違う路線かを考える」と友道師。
無敗で夏休みに入るディープ2世。飛躍の秋は、“宿題”を片付けた後にやってくる。
◆フレールジャック
牡3歳の鹿毛。
父ディープインパクト、母ハルーワソング(父ヌレエフ)。
戦績3戦3勝。
総収得賞金5149万7000円。
重賞初勝利。
生産者・北海道安平町のノーザンファーム。
馬主・(有)キャロットファーム。
栗東・友道康夫厩舎所属。
[ラジオNIKKEI賞メモ]
◆最少キャリアV 5月7日のデビューから1か月28日で重賞制覇。ロックドゥカンブ(3月17日デビュー)の持つ3か月14日を更新。
◆ディープJr. ディープインパクト産駒のJRA重賞勝利は、安田記念のリアルインパクトに続いて通算5勝目。
◆最低払戻金 1着が(10)(2番人気)、2着に(7)(3番人気)、3着は(2)(1番人気)が入り、ワイド(2)(7)310円、3連複(2)(7)(10)1710円、3連単(10)(7)(2)8390円が、それぞれの式別で最低払戻金となった。